海賊たちのお気に入りの飲み物といえば、ラム酒が挙げられます。
ラム酒はどのようにして海賊たちのお気に入りの飲み物となったのでしょうか。
今回はラム酒の歴史を掘り下げ、海賊たちが愛した理由や、ラム酒が世界に広がった理由について探っていきます。
ラム酒の誕生
ラム酒は、17世紀後半にカリブ海地域で誕生しました。
当時、スペインやフランス、イギリスがこの地域を支配していました。その支配地域において、主産業は砂糖産業でした。
ラム酒は、その砂糖の製造過程で余った蔗糖(しょとう、砂糖の成分の一つ)を利用して、生産されるようになったのです。
海賊たちとラム酒
タイトルにもあるように、パイレーツオブカリビアンの海賊、ジャック・スパロウといえばラム酒というイメージが強いです。実際、当時の海賊たちはラム酒を愛飲していました。
当時の海賊、ヘンリー・モルガンの名前をとったラム酒が現代でも製造されているなど、彼らとラム酒のつながりは深いものでした。当時アルコールは貴重なものでしたが、ラム酒は長い航海に華を添える、海賊たちの相棒だったのです。
ラム酒には抗菌作用があるため、水が腐るような状況でもラム酒は腐りません。そのため、水の代わりにラム酒が積まれていたという側面がありました。
また、ラム酒は当時に船乗りたちの間で流行していた「壊血病」の特効薬と信じられていたため、各地の港に備え付けられていたといいます。
壊血病は長期間の航海によるビタミンCの欠乏で発生する病気なのですが、ラム酒にはほとんどビタミンCが入っていません。実際に壊血病に効果があったのは果物のライムジュースでした。
船乗りたちとそのイメージによって世界へ広められたラム酒
ところで、海賊たちはラム酒が好きだというイメージが強いですが、カリブ海地域にいた海軍などの船乗りたちはラム酒を航海の際に船に積んでいました。
そうした、世界中を旅する人々の手によりラム酒は世界へ広められたのです。
例えば、イギリス海軍では、兵士たちの士気向上のためにラム酒が配られていたという記録もあります。また、先述したパイレーツオブカリビアンはじめ、多くの小説・映画などでラム酒は海の酒という風に描かれてきました。
パイレーツオブカリビアンの新作が発表されるごとにラム酒の消費量が伸びるともいわれており、これからまだまだ広まっていくでしょう。
今では世界で愛されるお酒に
ラム酒が誕生した当時は、ラム酒は粗悪でおいしくないお酒として認識されていました。そのため、安く取引されており、当時ラム酒の生産に携わっていた奴隷たちや、海賊たちが主な消費者でした。
しかし、ラムの製造方法が進歩してくると、次第に多くの人々を引き付けるようになりました。ラム酒は、カリブ海地域においては砂糖に並ぶ産業品として成長していったのです。
現在では様々なカクテルで用いられることや、パイレーツオブカリビアンなどの海賊や船乗りを描く作品で頻繁に登場するようになったことから、ラム酒は世界中で愛されるお酒になっています。
この、海賊たちのお酒を私たちも楽しんでいきたいですね!
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